顕在化不安と現存在不安/ジレンマとパラドックス

二義的なアプリオリ / 転移と断片の続き。

  • 被害者となる可能性に対しての、自衛手段。
  • 加害者となる可能性に対しての、危険性の提案。


過去与えられた体験事象によって、主体は与えられたiを抽象化し、意味ある刺激として受け取り保存する。体験事象は、過去の体験事象による経験から、それら体験の強化型として抽象化したiを作り出し、Pとしての「内在カテゴリ」を生成する。「体験事象」と「まなざし」を内在化し、自己に与えられたまなざしと体験を「与えたもの」として「外在カテゴリ」の細部を捨象した後、抽象化する。それに類似した「内在カテゴリ」として固定化したものと、「外在カテゴリ」として固定化したものを相対化し判定する。そしてt=0時点から外部へと流出したt=1時点において「未知の他者」が現れる。
「ジレンマ Dilemma」とは、<二義的なアプリオリ>の転移可能な「目的 Purpose」が存在しない、もしくは「目的 Purpose」を行使する為の距離が長いという問題が前提となる。Oから譲渡されたiによって、Pはiを内在する。この場合のiとは、他者意識と自己意識の差異を異化し、<二義的なアプリオリ>によって決定する「概念化」、排出<トラッシュボックス>として譲渡する「他者化」によって、Oがこれまで受けたiを明け渡し「ジレンマ Dilemma」という葛藤を惹起する。また、O'の値がPと同値か高い場合であれば、iを”与えられる”と同時に”被投性”を生じ、未来が実存の現実を押し潰している「現存在不安」を生じる。
パラドックス Pradox」とは、<二義的なアプリオリ>から転移が促され「目的 Purpose」が与えられる、もしくはその「目的 Purpose」を行使する為の距離が長いという問題が前提となる。Oから譲渡されたiによって、Pはiを内在する。この場合のiとは、他者意識と自己意識の差異を同化し、Oがこれまで受けたiを明け渡すことによって「パラドックス Pradox」という葛藤を惹起する。また、O'の値がPと同値か高い場合であれば、iを”削られる”と同時に”顕在化”を生じ、iという基底が崩れる「顕在化不安」を生じる。
もともと他者意識と自己意識は分離されてあり、Iにとってのiは同化している状態となる。その境界の他者意識(i)の集合として位相を形成し、自己意識(I)は外部からのエネルギー受け渡しを行う。
「現存在不安」は他者意識iそのものがIに投棄された瞬間に起こる持続的な効果を表し、Iにiを組み込んでいく持続的な効果としての過程として現れる。iが与えられることによって実数としてIへと変更され、同時にエネルギー基点となる「ジレンマ Dilemma」からエネルギーは励起する。また「顕在化不安」は「現存在不安」とは逆に、iが削られIそのものが露出、顕在化した瞬間に起こる持続的な効果としての過程として現れる。他者意識iが削られることによって実数が顕在化し、同時にエネルギー基点となる「パラドックス Paradox」からエネルギーは励起する。
また、このどちらにおいてもO'の値がPと同値か高い場合であれば、「ジレンマ Dilemma」と「パラドックス Paradox」が同時に起こる「Paradox & Dilemma」という二重の葛藤を惹起する。
iを与え「現存在不安」となるエネルギーとiを削り「顕在化不安」となるエネルギーによって、 他者意識と自己意識の境界はそのエネルギーの値から積分とを微分の調整を同時に行うことによって決定される。「現存在不安」は、積分から微分を行い外部へ投射された差異によって生じた「感情」を惹起し、「ジレンマ Dilemma」から”脱出する”方法として任意定数を代入する。「顕在化不安」は逆に任意定数の揺らぎのような値が固定された後、数値が決定される。この状態の「感情」は「パラドックス Paradox」という「恐怖」から”脱出する”方法として任意定数を代入する。
「現存在不安」とは名前を採用された不安、すなわち自我として採用されたものが棄却できない状態におけるジレンマであり、「顕在化不安」とは名前を棄却された不安、すなわち自我を棄却するか採用するかという決断を促されるパラドックスとなる。それら現象によって生じる「現存在不安」と「顕在化不安」は、「感情」を任意定数として調整することによって、存在そのものの不安と存在そのものが顕在化する「Paradox & Dilemma」という苦痛と恐怖から逃れ、解消されている。しかし、この任意定数は柔軟ではあると同時に、その為に脆弱性のある「感情」でもある。
任意定数は、「外傷体験」の再帰的強化記憶と<二義的なアプリオリ>によって生じた距離と、位相から<位相の移送 Transportation of Phase>が値として可能であるか、可能でないかという「分断線」から生じる「感情」の判定によって決定される。この「分断線」そのもの−−外傷体験と<二義的なアプリオリ>から差異化された「他者意識と自己意識の境界」、「Paradox & Dilemma」が<心のセキュリティホール>となり顕在化する。

これら4つの可能性があり、多くは働きかけられることによってそれらが個人の持つ行動ではなく集団行為として表出する。

figure.1 ジレンマ Dilemma

  • 「遠距離」により、OのエネルギーはPへと押し戻されていることが前提としてある。
  • 「遠距離」が前提としてあるため、「O'への遠距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーと押し戻されるエネルギーは同値となり、効果としてジレンマを生じる。
  • 「遠距離」が前提としてあるが、「O'への近距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーは押し戻されるエネルギーよりも大きくなり、効果としてジレンマは消失する。
  • 対象Oへの共感強化が促されながらO'への概念化は再帰的に行われ、位相縮小・スリム化する。

figure.2 パラドックス Pradox

  • 「遠距離」により、OのエネルギーはPから分散していることが前提としてある。
  • 「遠距離」が前提としてあるため、「O'への遠距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーと分散するエネルギーは同値となり、効果としてパラドックスを生じる。
  • 「遠距離」が前提としてあるが、「O'への近距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーは分散するエネルギーよりも大きくなり、効果としてパラドックスは消失する。
  • 位相Oへの共通認識強化が促されながらO'への概念化は再帰的に行われ、位相拡大・巨大化する。

figure.3 Pradox & Dilemma

  • 「遠距離」により、OのエネルギーはPへと押し戻され、またOのエネルギーはPから分散していることが前提としてある。
  • 「遠距離」が前提としてあるため、「O'への遠距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーと分散するエネルギーは同値となり、効果としてジレンマとパラドックスを生じる。
  • 「遠距離」が前提としてあるが、「O'への近距離」という暗示によってO'へ向かうエネルギーは分散するエネルギーよりも大きくなり、効果としてジレンマとパラドックスは消失する。
  • 位相Oへの対立指向が促されながらO'への概念化は再帰的に行われ、新たな位相を形成する。

  • Pi
共感
他者意識と自己意識の境界にある任意定数が「ジレンマ Dilemma」を生じた後、「ジレンマ Dilemma」から脱出するための任意定数の数値を新たに決定する。
共通認識
他者意識と自己意識の境界にある任意定数が「パラドックス Paradox」を生じた後、「パラドックス Paradox」から脱出するための任意定数の数値を新たに決定する。
共同行動
他者意識と自己意識の境界にある任意定数が「Paradox & Dilemma」を生じた後、「ジレンマ Dilemma」から脱出するための任意定数の数値を決定し、「パラドックス Paradox」から脱出するための任意定数を棄却することによって、目的を<トロイの木馬>として内面化する。
  • O'i
共感
「外傷体験」の再帰的強化記憶から「ジレンマ Dilemma」を生じ、それと同様の「外傷体験」を持つ「同調」が行われる。この場合、他者の「痛み」or「罪悪感」に働きかける。
共通認識
<二義的なアプリオリ>の「目的」から「パラドックス Paradox」を生じ、それと同様の<二義的なアプリオリ>を持つ「同調」が行われる。この場合、他者の「目的」or「利害」に働きかける。
共同行動
<二義的なアプリオリ>による行動、興味の半径と同様の「分断線」から「同調」が行われる。この場合、他者の「痛み」or「罪悪感」and「目的」or「利害」に働きかける。

「現存在不安」においてIという「名前(外傷経験記憶と二義的なアプリオリによる基底)」を与えた後、「顕在化不安」からiという「感情(任意定数によって決定された値)」にとっての差異を棄却することにより、<心のセキュリティホール>は「共感」による逸脱を促す。その逆として、「顕在化不安」によってiという「感情」にとっての差異を棄却した後、「現存在不安」においてIという「名前」を与えることにより、<心のセキュリティホール>は共通認識による逸脱を促す。また、「顕在化不安」と「現存在不安」が重なった位置において、他者の「ブラックホール化」が連続的に行われるという<トロイの木馬>が実行されることによって、それを自己成就予言とする。
トロイの木馬>は、コンピュータウィルスの一種と似ていると定義できる。Pへの「直接的」な干渉は行わず、P自らが内面化した目的へと向かうようにと働きかけるもの/または無自覚に、時限爆弾のようなそれを内面化するもの/されるものとなる。また、増殖そのものが個体内部では起こらず、その目的のみで、ある他の目的が干渉し、目的を顕在化した場合、<トロイの木馬>は実行され、<心のセキュリティホール>と共に外部へと露出することになる。これもコンピュータウィルスの一種と同様のことで、信頼性の高いファイアーウォールを設定し、進入するウイルスそのものに干渉しないか、もしくはウイルスそのものを無効化し、内部に感染したトロイの木馬を削除できるワクチン・デリート機能を備えることになるだろう。
また、他の解決策として、それら「受け手」や「個」の<心のセキュリティホール>に代入した<トロイの木馬>を「顕在化」し「露出」する「Paradox & Dilemma」を生じることによって、「目的」と、目的化されたものから止揚された「可能性の穴 Hole of possibility 」から、「名前」と癒着した「感情」による再帰的に繰り返される二義的なアプリオリ / 転移と断片の、Pによって生じた位相は消滅する。
トロイの木馬>が「集合」「集団」「情報」から実行される手順として、「遠距離」という前提を「近距離」という前提へと覆すことによって、棄却された可能性が再帰的に棄却されるため、「目的」という「一貫性」の「分断線」が生じる。そしてそこへと働きかけられている「受け手」が<心のセキュリティホール>から無自覚的に同調することによって、<トロイの木馬>を内面化し「分断線」が生じた後、「感情」の任意定数の採用と棄却から生じた差異から、Pの「ブラックホール化」を繰り返すことになる。
この「不可能性」の再帰的運動から新しい前提を提案するには、「遠距離」という前提を「近距離」前提に覆した後「目的」と目的化されたものから止揚されたものを拾い上げることになる。他者意識と自己意識の境界を定めるための「ジレンマ Dilemma」と「パラドックス Paradox」によって「感情」を生じ、任意定数によって他者意識を棄却・採用によって生じた「分断線」は止揚の可能性を生み、「不可能性」と「不可能性」から「可能性の穴」を鍵として開く。

追記

mindさんのアイデアもお借りしました。ありがとうございます。「操作」という言葉は省かせていただきました。