情報認知

http://d.hatena.ne.jp/fuuuuuuun/20070327/p1
ああ、なんだか分かるなあ。私も「支配」というのを母にどうやってもしてしまうことがある。そして後でこんがらがってしまった糸そのものを見て落ち込んで「もう、いいや」となる。「どうしてきっちりとした時間をいわないのだろう」「省略してこちらに意図の解釈を求めるような単発的な言葉ではなくて5W1Hで話して欲しいのに」と思うことがある。そして、対話を試みようとするから、「どういうこと? もっとくっきりきっぱりとお願いします」と言って逆に困らせてどんどん理解不能となる。
以下、二重引用で失礼します。

自閉圏の「支配」は決して上下関係の表れや、干渉とは違い、
脳の障害により、他人の人格の認知に問題があるからなんですよね。
健常者脳を持った事がないので比較が難しいのですが、
自閉圏の感覚では、自分の世界の中に相手が存在している感覚で、
それは物並べ行動、こだわり行動と同じように、
相手を自分の思い通りに並べておきたい、制御したい、と言う感じです。
自分も支配が激しくて、配偶者が予告無しに立つだけで癇癪を起こしてしまいます。

思うのだけれど、この「支配」っていうのは健常発達側にとっての感想なんだよね。どちらかというと「違和感」の感覚に相当する気がする。
綿密に塗ったコンクリートの壁に罅割れが起きて、今にも地盤沈下しそうだから「塗らなければ」とごくごく自然に衝動が発生する。「歩く」とか「座る」ということと似たような感覚で起きる行動というか。だから「脅迫的」に見えたとしても「脅迫的観念」のような焦燥感自体はないし、寧ろ逆に茫洋としている。そして、ひび割れた箇所を塗ろうとしたときに、「またミスってしまった(相手と齟齬が発生して行動不可)」「こうでなきゃいけなかったのに……地盤沈下してしまった(相手の行動が予測を大きく裏切る)」となり、ストレスが溜まっているときに相手側が困るかもしれないという想像をすり抜けるように文句を言ってしまう、のだと思う。
私は相手の思考を丸ごとインストールして、内部でインストールした情報を元に人間をつくりあげる。内的宇宙に存在する不完全なクローンコピーのようなものを作って、その情報を元に対象に接触するから、必ずエラーが起こる。何故なら、それは不完全なコピーであって、相手がとる行動ごとにコピー内容にズレがあるのは当り前だから。愛着の対象ほど支配が強くなるのは、内部情報を出来る限り補完して定期更新を怠らないようにしようとする欲求の表れだ。
私の場合そのように相手に接触しているのだけれど、通常のコミュニケーションをとる人を見て、どうも違うんじゃないか、と感じる。私は相手の情報をこちらにインストールするけれど、自分の思考の場所を相手に飛ばしたり逆に内部に引き込んだり、という相互的な補完を自律的に行っている気もする。といっても、やはりそううまくいくものでもなくいざこざは起こるもので、そういったことを繰り返しながら誰もが学習していくのだろう。「愛着の対象は不確定・未確定であるのが当り前」であるというイメージで、違和感はまだまだあるけれど苛立ちはかなり減少したのも学習の内なのかもしれない。といってもこれは自分の認知の仕方を自覚してからなのだ。あの当時は世界観が「身体で区切られただけの曖昧な途切れの無い世界」という認識でしかなかった。もちろんこれはイメージであって言語化していたわけではない。
個人情報を、曖昧な部分と物理的な部分を包括的に取り込むことで相手を認知していて、物並べ行動は「インストールした情報を整理する訓練」だったり、こだわり行動は「インストールした情報を深度別に振り分け再構成している最中」というかんじなのかもしれない。思うに、他者に対しての「共感の仕方」が違うだけだと思う。
こういったイメージ性、蜘蛛の巣状に絡まったコラムの言語が脳の容量に目一杯詰まっているわけだから、2000年問題のような蓄積した時間を処理できずにいつかエラーを起こしてしまいそう。