共有感覚 / 反撥 - 受容 / 異化 - 同化


立場とアイデンティティの続き。

共有感覚と視野

灰色の点が、観察の「個」で、円は「共有感覚」、そこから伸びる線は、フィールドを見渡せる視野がどれだけあるか、というのに対して、遠近を用いて表しています。
「共有感覚」というのは「何かを以て、感覚を共有している、同じ情報を持っているはずである」というような「信念」や「確信」です。中心にあればあるほど、その感覚は自明のものとなります。円の外部にあればあるほど、共有する感覚が存在しないという孤独があります。孤独、というのはつまり、他者性を以て「共有感覚」が阻害された強く学習された記憶です。
XY軸平面状には「共有感覚」があり、立体的なXnYn平面状を捉えて見れば「視野」が存在し、「共有感覚」の中央に近ければ近いほどアプリオリな感覚を共有し自明のものとすることができます。また、遠ければ遠いほど、コミュニケートする為に必要となるアプリオリな感覚が薄れていきます。個々の位置はそれぞれリアルタイムに影響しあいながら移動しますが、点の合間が広ければ広いほど、相互に影響しあう可能性は低くなります。XY平面状の「共有感覚」から離れれば離れるほど、相互に影響しあう確立は低くなり、また「共有感覚」に近ければ近いほど相互に影響しあう確立高くなります。

反撥-受容エネルギーと異化 - 同化エネルギー

「反撥-受容エネルギー = a」は「異化 - 同化エネルギー = b」の増幅を促します。「異化 - 同化エネルギー」とは、異化を認識し認知する反復される/する経験が多くなるほど、同化しようとするエネルギーは増加し、異化を認識し認知する反復される/する経験が少ないほど同化しようとするエネルギーは減少します。つまり、「異化 - 同化エネルギー」が少ない事で、その場に「共有感覚」を生み出し、また、その「共有感覚」でもって「反撥-受容エネルギー」生み出し、異化を認識する個を生み出します。「反撥-受容エネルギー」が与えられない/受けられない場合、共有感覚を抱く彼岸の”内側”に存在する個にとって、「異化 - 同化エネルギー」は少なくなります。逆にそれによって「反撥-受容エネルギー」を与えられた/受けた場合、”外側”に布置され、「異化 - 同化エネルギー」は多くなっていきます。「異化 - 同化エネルギー」と「反撥 - 受容エネルギー」は等値(aが1を生じればbも1を生じると仮定する)です。
「適応」するという「魂の苦痛」を生じながらも、「異化 - 同化エネルギー」を「反撥-受容エネルギー」から創出し続けることによって、自らに最適な適応条件を整えようとする。個は、その苦痛を止めるために下層へ再び降りたり、上層へ上がろうと足掻いたりします。その時に必要となる「反撥-受容エネルギー」が外部から与えられなければ、再びXY軸平面へ自然と降りていきます。また、更に「反撥-受容エネルギー」が外部から与えられれば、「共有感覚」の外部へと「反撥-受容エネルギー」によってはじき出され、そのはじき出された力により上層へと反撥する力が発生し、酸素の毒から逃れるようにして、フィールドから上層の漠然とした海の中に飛び込もうとします。

他者の事実化による点<個>の移動

図では、線で「異化 - 同化エネルギー」と「反撥-受容エネルギー」の方向性と位置を描いていますが、ここでは6つに分類して説明します。それぞれの分類は、1から6の順で、異化から同化の手順を踏みます。

1.XY軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXY軸平面の中央に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられることがない状態。XnYn軸平面へと向かい、今までためていた「異化 - 同化エネルギー」の熱を冷却しながら同化へと向かう。
2.XY軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXY軸平面の外部に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられ、XY軸平面の外側へと逃れようとしている状態。同時に「異化 - 同化エネルギー」という熱も発生している。
3.XY軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXnYn軸平面に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられ、XnYn軸平面へと逃れようとしている状態。同時に「異化 - 同化エネルギー」という熱も発生している。
4.XnYn軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXnYn軸平面の外部に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられ、XnYn軸平面の外側へと逃れようとしている状態。同時に「異化 - 同化エネルギー」という熱も発生している。
5.XnYn軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXnYn軸平面の中央に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられることがない状態。XnYn軸平面の中央へと向かい、今までためていた「異化 - 同化エネルギー」の熱を冷却しながら同化へと向かう。
6.XnYn軸平面から「反撥 - 受容エネルギーをXY軸平面に向けている状態」
現在「反撥 - 受容エネルギー」が他者から与えられることがない状態。XY軸平面の中央へと向かい、今までためていた「異化 - 同化エネルギー」の熱を冷却しながら同化へと向かう。

最も「反撥 - 受容エネルギー」が高いのは「6」の状態であり、逆に最も「反撥 - 受容エネルギー」が低いのは「1」の状態です。
「反撥 - 受容エネルギー」とは結局のところ、他者に接した途端発生するエネルギーであり、反撥と受容によって外側であるXnYn平面へと弾かれる運動エネルギーです。自己は、はじめXY軸平面の中央に位置し、自己と他者は同一視としてある状態です。しかし「反撥 - 受容エネルギー」を受ける事で異化が発生し、それと同時に同化するエネルギーを自己の内面に発生させます。同時に等値の「反撥 - 受容エネルギー」も自己の内面に発生させていきます。

XnYn軸平面状へ向かう世界

XnYn軸平面で「共有感覚」の中央に近い場所にいる場合、自己肯定感がありますが、外側に位置する場合、誘引となるはずの個が周囲に散在する事無く、また影響しあうことができない状態です。
もし、この状態に対して、中央に向かおうとするならば、他者から与えられる「反撥 - 受容エネルギー」を最小限に抑え、それによって今まで貯蓄していた「異化 - 同化エネルギー」の異化の項目を同化に変え、「反撥 - 受容エネルギー」の反撥の項目を受容へと変えなければならない。
しかしながら――それぞれの項目は二律背反です。異化は同時に同化であり、反撥は同時に受容の項目を満たしている。「行為」や「思考」と変容した瞬間、どの項目に偏っているか、ということに過ぎないのです。
けれども、「他者」との出会いと与えられる「反撥 - 受容エネルギー」の相互作用によって、異化と反撥が強くあればあるほど、外側へと弾き飛ばされる。もし、個が同化と受容へと向かわずに異化と反撥の世界へと向かうならば、自ずと自らが発生させている「反撥 - 受容エネルギー」によって、遠心分離のように外側へと個を弾いていくでしょう。同化と受容とは即ち、思考としての「理解・愛」であり行為としての「抱擁・信頼」であり、異化と反撥とは即ち、思考としての「差別・憎悪」であり、行為としての「拒絶・殺傷」です。
同化と受容の一つの道筋の思考である「理解」は、「観察」や「観照」によって自律的に行なわれます。次第に全体像が浮かび、「共有感覚」の集合と、そこから細分化しながら生じている「反撥 - 受容エネルギー」と「異化 - 同化エネルギー」の生じる方向が見えてくる。その全体像から個々にある「感情」や「思考」を分析し、その後でAやBといった類別として類似する共有率毎に分類していく。
中央へと向かわせる流れを作る道は予め決定されているけれども、「個」の反撥によって終始阻まれている――しかし、その道から中央を射抜くのも、中央の点を終始見据えた意志だけでしょう。