二義的なアプリオリ / 転移と断片


「異化 - 同化エネルギー」をD(Dissimilation)-A(Assimilation)と定義し、「反撥 - 受容エネルギー」をR(Repulsion)-R(Receipt)と定義します。共有感覚 / 反撥 - 受容 / 異化 - 同化ではD-AとR-Rのそれぞれの相互作用によって、位置が移動する状況を述べました。しかし、移動しなくなる状態というものも存在する。D-AとR-Rが近似値となるか値が重なりゼロに近い地点となった時点で、そこがPにとっての「帰属」と「共有感覚」という意識の座となります。これが、原点としての「共有感覚」から遊離し、離別した後に形成される、二義的なアプリオリ<了解・信念>です。
まず、Pのベクトル値となるのは、a:異化-同化エネルギー、b:反撥-受容エネルギーはそれぞれ言語表出行為を値として算出します*1。Oから与えられたabcのエネルギーOPをPに渡した後、Pはそのエネルギーをabcに分散する値を決定し、再度PO'という他者へと譲渡し外在化していきます(figure.3)。しかし、D-Aの抑制・固定がPによって行なわれれば、Pの内的活動は停滞し(figure.1)、O'からの抑制・固定が行なわることによってもPの内的活動は停滞します(figure.2)。
OからPへとエネルギーを譲渡されることによって(OP)、Pはそれを受け取り、更に、Pは内的活動によって、abcのエネルギーを練りあげ、他者への譲渡配分を算出した後、O'への構築や譲渡します(PO')。この時、内部に残しておくエネルギーと譲渡するエネルギーを算出する時、OとO'からのPO'エネルギーの力も計算に入れます。仮に、OPに対するabcをそれぞれP(a, b, c)と仮定すれば、PはO'からPO'として与えられたe(a', b', c')を引き、P(a-a', b-b', c-c')とする。Pが実数であれば、Pは内的な活動としてベクトルを外部への移動へと向ける。Pの値がOかO'のいずれかにi(複素数)を伴うベクトルも存在します。figure.2のように、O'によってi(まなざし、カテゴリ)が混入していれば、iはP内部に留まります。iは複素平面上に存在し、実数としてのエネルギーに必ず付随しますが、iはPの主体による揺らぎから、内部規定の「変更可能値」として表しています。観念と概念は、このiを示しています。iとは、世界の「転移」であり、他者の「転移」でもある。このiによって観念と想像は連合しPの内部形成・意識変容という、内部から規定することが可能となるエネルギーへと変移していきます。O=O'の虚数と実数は、Pにとって”交換可能”なものであり、Pに内在した虚数値と実数値によって、内在化する数値と外在化する数値は決定される。この状態を、「OとO'によって規定され、規定する関係の連合をP」と定義します。Pという状態は固定された「状況」ではなく、常にOとO'というエネルギーによって振動し、移動する距離を持っています。
OPとPO'の値の結果がプラスであれマイナスであれ、実数である場合、その結果としてPは座標面から移動していく。Pがi値を受け入れる毎に、PO'とOPの値は変化することなく同質へと変化していき、O'へとそのエネルギーは譲渡されることなく滞る。そこで場を形成したPを示したのがfigure.4です。figure.4ではその状態を分布化し、figure.1とfigure.2の相補的関係を示しました。figure.2のPがfigure.1のPのようなエネルギー変移を見せるとき、その時点で、座となる連合が規定されます。PはOPによってエネルギーをO'へと渡し、O'へ渡されたiを内在化したO'は、R(Repulsion)-R(Receipt)エネルギーからViへと投射し、外部へとD(Dissimilation)-A(Assimilation)エネルギーとして排出<トラッシュボックス>する。その時点でUiとの位相を形成し、Viと<分離>を図る。互いにエネルギーは相互交換されていくうちに、U'iという外部からの投射・転移によって、逆にUi、Viを包含したV'iが常態化される。
こうした相補的な関与によって、それぞれ、Pの周囲と、O'の周囲とのiによって意識的(i)な集合が生まれます。iの値によって、位相空間による集合の分断線が決定される。また、この分断線もエネルギーの譲渡によって、常に変更されていき、常態化から様態化へと変容し、集合となった後も、集合と離別を繰り返します。この変移状態はPから発生したものであるため、Pの状態はそれだけで、「ブラックホール*2」という、相対的に見ればエネルギーを無尽蔵に吸収している様態を見せるようになります。
figure.5はfigure.4の常態化した集合が移動する状態を示しました。U'iという外部からの投射によって、逆にUi、Viを包含したV'iが常態化されると同時に、それもまたU'niからの転移によってV'niが常態化されていく。こうしてV'ni集合はfigure.5の状態から、断片化された状態の集合として二義的なアプリオリ<了解・信念>を共有した後、座を「目的 Purpose」となる場へとD(Dissimilation)-A(Assimilation)エネルギーを譲渡していく。それと同時に、R(Repulsion)-R(Receipt)のエネルギーがD(Dissimilation)-A(Assimilation)エネルギーの値と同値であれば、V'niはR(Repulsion)-R(Receipt)とD(Dissimilation)-A(Assimilation)を常に同値として排出<トラッシュボックス>するしかないという状況へ向かうこととなります。また、位相の距離が長いほど、エネルギー変移の受け渡しが出来ないまま、V'niはそのエネルギーを内部に滞らせたまま変動が不可能になってしまう。距離と、エネルギーの受け渡しは同値か、それ以上かによって<位相の移送 Transportation of Phase>の値が決定され、実数から事実に移動する。また、その「移送 Transportation」される他者は、V'niのアプリオリ<了解・信念>の転移可能な「目的 Purpose」です。

*1:言語の強弱は恣意的なものであり、その情報の連合がOとなる。

*2:ブラックホール - Wikipedia